Walkman NW-X1050/R のこと

発売は2009年4月25日。 こんなやつです。

 もう十年以上前ですか。当時の会社から家まではおよぞ一時間半くらいで、メインは本を読んで過ごしてましたが、たまに音楽をぼーーっと聞きたいなと思っている時期でした。
 実はこの時から1,2年ほど前にiPodを持っていたのですが、ほぼ聞こえない。電車通勤故に、聞こえないんですよね、音楽が。もちろんボリュームを上げればいいだけの話なのですが、妙に音漏れを気にしてしまって、音楽を聴けるところまで上げられない。なので、ほとんど使ってなかったのですね。
 そこで、この機種。なんとノイズキャンセリング機能があるという。試してみたい! 実をいうと、本当は10月発売のA-840シリーズを狙っていたんですよね。こちらもノイズキャンセリング機能付き。とにかくほしいのでいろいろと調べるわけですよ。早く発売しないかなと。しかし10月に入っても発売ぜず。どうやら後半の模様。そこで、本物を展示していないかなと思って、電気屋さんへ行ってみました。池袋駅近くのヤマダ電機へ。オーディオのブースに行ってもまだない模様。当時メインは何といってもiPodなので、そちらが目立っていたような覚えあります。

「うーん……」

 諦めかけていたその時、エスカレータ近くの「お宝品」をのぞきました。お宝品という感じのネームでした、確か。でもそこにおいてあるのは、例えば箱潰れや旧製品や展示品のようなアウトレット系の商品がただ無造作に置いてあるだけで、売る気あるのかってな感じの雑多感。でも、その中に発見したのです。ボロボロの箱に、黄色い札で「展示品」と書いてあった「NW-X1050」を。
 定価39800円だったのが、確か2万円台でした。A-845が24000円あたりという発表だったと思うので、定価高めで機能的には数段良いというのは知っていました。ただ、確か新機能がなかったような、歌詞ピタかな、それがないような気がします。なので、やや躊躇していました。
 その場に立ち尽くし、考えましたが結論でず。
 この後、友人と食事の予定があって、池袋の飲み屋へ。しかし、この「NW-X1050」が頭から離れない。どうしよう、どうしようと。そして、結局八時四十分ごろに、私だけ飲みの席を立ちました。
 そうです、もう一度ヤマダ電機へ行くためです。
 「もし、あったら、買ってしまおう。それが運命」
 閉店間際、エスカレータを駆け上がり、目指すところは寂し気なワゴンの上にあるボロボロの箱に包まれたあいつ。
「あった!」 
 手に取り、店員さんに聞きました。
「もう少し安くなりませんか?」
「それはちょっと……」
「ですよね」 
 でも、購入です。ケースも買ったのですが、本体のポイントで買えました。ありがとう! 

 かえって、さっそく曲入れて……、なのですが、このころに新しくできたばかりのソニーの音楽ソフト「X-アプリ」が使いにくくて、苦しんだ覚えがあります。しかし何とか入れ込んで、聞いてみると、確かに音がいい。iPodと比べること自体おかしいくらい、音がいい。これだけでもいいのですが、本当の意味の、この機種の実力はここじゃなかったのです。 
 次の日、電車に乗って揺られながら、おもむろに「NW-X1050」を取り出し、変な形のイヤホンを耳に取り付け、音楽スタート。やはり……、うるさい。電車音は相当です。しかし、ここで登場するのがノイズキャンセリング機能。物理的なスイッチをオン。 
 私はこの時の感動を今でも覚えています。周りの騒音が消え、音が浮き出てきました。まさにそこは別世界でした。耳から入ってくる音楽と、目に見える、車内の喧騒のギャップにおかしくなりそうなくらいの、別世界。もれなく虜ですよね。
「すげーな、ソニー!」
 この素晴らしいノイズキャンセリング機能も、最新機種からすれば劣っています。ガタゴトも、キキーも、耳に入ってくるでしょう。でも、感動は薄れませんね。
 実は今でも生きてます。バッテリーもまだ健在で、使えます。ケースはボロボロですけどね。かわいいやつです。
 実は、私が買った「展示品」、初期化されていまして、プレインストールされているはずのサンプルミュージックや壁紙がなかったのですよね。それが残念だったと記憶してます。

 今でも「あの感動をもう一度!」ということで、電車内無音! を探し求めてしまっています。

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