時々思い出す、怖い経験について。

 「怖い話してよ」といわれた時、思い浮かべる話が2つあります。一つはまあ、怪談話で王道的な奴です。これは今回の本題ではないので、いずれの機会に。
 もう一つは、私が経験した話です。確か小学校高学年の頃なのでもう数十年前のことです。私は友達のところへ遊びに行きました。家から結構遠く自転車で20分ほどでした。私の家は小学校の学区の境目近くにあって、その友達は反対方向の境目だったので、それなりに遠かったことを覚えています。
 小学校を越えてしばらく行くと大通りにあたります。そこを越えるのですが、いつも感じていたのが、そこから別世界のような感じでした。アウエーなのですね。その大げさに言うならば異空間的な感触は今でも覚えています。
 その友達の家の帰りでした。数人で遊んでいたのですが、帰りは私一人。なんでかは覚えていません。そして、静かな小道に入りました。そこは行きにも通った場所。林をかき分けたような、車一台分の道。片側の木々は低く、暗いイメージはありません。でも、そこの一画、道に面して長細い空間がありました。そして、なぜかそこにはブランコがありました。公園ではありません。砂利が敷かれた空間にポツンとあるブランコ。変ですよね、変。
 私は、なぜか、走らせていた自転車を止め、そのブランコの近くに置きました。おかしいんですよね、この行動。そして私はブランコに腰掛け、ぶらりぶらりとし始めました。だんだんと勢いをつけていきます。言っておきますが、小学校高学年です。なのでブランコはもう乗っていないのですね。でも、私はブランコをこいでいます。
 前、後ろ、前、後ろ……。 そして、前から後ろに行くときの地面に近い中間地点で、私はブランコから転げ落ちたのです。いきなり。あれ、なんでだろう、普通に座ってたのに、今地面にちょこんと座っている……。
 ここでいきなり我に返りました。もしかして、ここにいると、ブランコに後ろからやられる! 私は本当に飛ぶようにして前へ転がりました。その瞬間、ブランコが私の後頭部付近を通り抜けていきました。 危なかった。そして私は振り返ることなく、自転車に飛び乗り、帰っていきました。
 なぜ、ブランコに乗ったのだろう? なぜ急に落ちたのだろう? 謎ばかり……。
 そして、あそこで逃げなかったら確実に頭を強打していたのだろう。
 もし、あそこで振り返っていたら、見てしまっていたのかも……。
 こう書いている今でも鳥肌が止まらないのです。
 これが、私の怖い話です。

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