こんにちは。
私自身が経験した不思議な話、というか怖い話を書かせていただきます。
この話は、スキーが盛んな頃でしたから、30年ほど前になるのかもしれません。
私はその時学生で、冬になると友達の車でほぼ毎週スキーに行っていました。
東京から近場のスキー所は酷く混んでいて、リフトに乗るために1時間、降りるのに
10分弱という、非効率な運動でしたが、それでも楽しくいってました。
そんなある朝、まだ暗いうちから友達と三人で諏訪あたりのスキー場目指して
高速を走っていました。
私は後部座席でぼーっと外を見ていました。日は昇ったばかりでしたが、明るく見通しも良かったです。
前の二人の眠気覚ましのくだらない会話を聞いていた時でした。
向かって左側からやたらと飛ばす軽トラックを見ました。
ここからおかしいのですよ。右側を走っていた私たちは追い抜き車線で、左側は走行車線。
そちらから追い抜きはどうなのよ、という事です。
まあ、そういう輩もいるのですが、それが軽トラックで、荷台には何か積んでいるようでした。
その荷台を見た僕は思わず声を上げました。
うまい表現が見当たらないのですが、荷台の前の方に、陸上競技でのハードルの台のような形をしたものがあって、そこに三本間隔をあけて紐が結ばれていて、その紐の先には、薄い人間のようなものがひらひらしていました。
こいのぼりのような感じで、しかし、鯉ではなく明らかに人間でした。しかし、薄くぱっと見では布切れのようにも見えました。
しかし、私ははっきり感じたのですね。
「やべーモノ、見たな」って。
そのトラックは私たちの車を抜き去り行ってしまいました。
私の見たことを伝えようとしたのすが、前の二人はアホみたいな会話を続けています。
まてよ、もししかして……。
先ほど書きましたが左車線からの急な追い越しでしかも軽トラックだったら、運転手ならばなんだよ、くらい思ってひとことふたこと口に出しそうなものです。また、隣の奴もあきらかに違和感を感じているはず。しかし、そのことに何も触れず会話が続いている……。
会話に夢中になっている、という感じではないんですね。眠気覚ましなので、刺激のある事があればそっちに目が向くはずなのに。
私はそのことを伝えることをやめました。
「そんな車、見てないよ」
と言われたら、決定的なような気がして。
その後、とくに事故ることもなく過ぎていきました。
この辺は良かったと思います。
しかし、まれに思い出します。
あの時、共有しておけばよかったかな、とも思いますよ。
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