電車で親子が座っていた。といっても、息子は50前後。父母は70~80。
というのも、二人とも呆けているようだった。
父は息子に何回も「どこ行くの」と聞いていたし、母は突然声を張り上げ名前を呼ぶ。
それを聞いた息子とはグーで母の頭を殴り電車だから黙っとけと小声でいう。
しばらくすると母はカバンから財布を取り出し、札を出し息子にあげようとする。息子は今じゃないから、とにかくしまえと、また母を殴っていた。その間父は手のひらとじっと見つめていた。ときどき微笑んでいた。
私も母がいた。病院に一緒に行ったとき、ちょっと待ってて、といって座らせ会計を済ませたりしていると、看護師さんが私の名前を叫んでいる。急いでそこに向かうと母がいて、「息子さんを探していましたよ」と言われる始末。
だから、その息子が哀し気な、うんざりした表情を浮かべるのも分かる。その顔を母はじっと不服そうに見つめているのもある程度わかる。
それが、ある意味家族なのだろうと思う。
家族の最終形。そんな気がした。
もちろん、他の形は存在する。
そう思っている……。

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