グエン君

通勤での話。

乗り換え時に結構歩く。5分くらい。
階段を降りて、降りて、降りて、長い通路を渡りきったところに乗り換え駅の改札がある。

階段を降りて、次の階段を降りようとしたあたりにいつもいる男性がいる。
彼はいつもスマホを見ている。スマホを横持ちにしながら熱心に見ている。決して目を離さない。
覗いてみるとゲームをしている。格闘系かな。指の動きが激しい。

まあ、別に好きになってくれればよい。しかし、周りを見ていないので、階段をゆっくりと降りていく。前が空いていようが、後ろが詰まっていようが関係ない。
彼はひたすらゲームをしている。

階段を下りてもずーっと。
長い通りをスマホのみを見つめて歩いている。
階段を降りた時点で、後ろの詰まっていた人たちは彼を追い越していく。
でも、気にしない。彼は一生懸命だ。

改札付近までくると、器用にスマホを見ながら定期を出す。
この辺が不思議なんだよなあ。迷いがなく、改札でぶつかることもない。
まあ、他の人が避けてくれることも関係している。

私は彼の事を「グエン君」と心の中で呼んでいる。
人の良さそうな青年なんだけどね。

時々いなかったりすると寂しくなる。

階段で変に詰まってたりすると、ああ彼がいるんだな、と分かって変に安心する。

嫌みではなく、もう怒りとかは通り越して、心配な領域になっているから。
日本で、会社で虐められてないかな、とか思ってしまう。

今朝も健在だった。雨が少し降っていて滑らなきゃいいけどな、なんて思ったりする。
変な感覚だ。

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