以前、会社にいた人の話だ。
その人は定年をゆうに過ぎた人で、うちの会社では週二回の就労だった。
しかも、短時間で。10~15時。そういう方が数人いた。
なんでそういう人が必要かというと、かなり社秘になるので書けない(私が会社辞めたら書く)。
正社員は9時6時なので、大分短い。
大抵のおじいちゃんは10分くらい前に来る。
基本的に来ても仕事があるとは言えない。でも、来ないといけない。
会社としては、単純に居てくれることに報酬を与える趣旨なので至って暇なのだ。
それはある意味つらい事であるのかもしれない。
それは、分かる。今の私だってそんな感じなのだから……。
それは良いとして、あるおじいちゃんがいた。その人は三十分くらい早く来る。
そして、三時過ぎに帰る。「なんで速いのだろう?」と思っていた。
他の社員がそのおじいちゃんを見たという。
その社員さんがいつもより三十分くらい早く最寄りの駅についたので、近くのコーヒーショップに行ったとのこと。しばらくしたらそのおじいちゃんがそこに入ってきたというのだ。
つまり、そのおじいちゃんは一時間以上前に駅につき、ゆっくりコーヒーを飲んでから30分以上早く会社に来ていたのだ。
当時私はこう思った。
「家に居たくないのかな? 暇なのかな?」
と。
まあ、確かに飲み会なのでの話を聞くと家族仲は良くないようだった。だからかなあ、と思っていた。
そして、「可哀そうだな」と強く思った。
しかしだ。
そのうち、私もそうなる可能性がないわけではない。
それは惨めなのかもしれない。
でも、こうも思うのだ。
その人の心の在り方で生き方が違う、と。
実はそのおじいちゃんは家ではない、個人の時間を楽しんでいたかもしれない。
そして、自分の在り方を再構築していたのかもしれない。
それは分からない。
本人しかわからないし、他者がどう思おうとは関係のない領域なのだ。
もう辞めてしまったが、今はどうしているのかなあ……。

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