カエルの話その2

こんにちは。

カエルにまつわる話のその2です。

私が大阪にいた時の話なのでもう20年以上前のことです。
新卒で入った会社はいわゆるミナミの方で、少々繁華街から離れたところにありました。数駅奥に行くと藤井寺球場があったように記憶しています。

季節はたしか4月か5月。期の女の子と私で、同僚の待つカラオケBOXに行く時でした。

当たりが暗くなり始めた時間帯でした。
女の子先頭で自転車を漕いでました。

「こっちの道の方が近いから」

確かそんな感じで初めての道を通りました。私もその女の子も大阪以外からきた人間で、当然その土地は詳しくありません。しかしその女の子はその道をどんどん進みます。私はついていくしかありません。方向的にはあってそうだけど……。
細い通りに出ました。自転車二台横並びは無理そうなところでした。あたりは薄暗く、人もいません。よく見ると、両サイドは田んぼか畑のようなところで、いわゆるあぜ道でした。

風情あるところだな、と一瞬思ったのですが、そんな感じではありません。何かが鳴いていました。
カエルでした。大量のカエルがそこに居ました。ただ自転車なので、姿は見えません。
「うるさいところだな」
程度でした。

しかし、あぜ道に入ってしばらくすると、何かへんな音が聞こえます。
「プチプチプチプチプチ……」
なんだ? 自転車のタイヤが何かを踏んでいて、そのたびにプチプチ言っています。
梱包材の「プチプチ」が道に敷き詰めてあるような。
その時です。前から「ギャー」という悲鳴がしました。同期の女の子の声です。彼女は「ギャー」「やめて」「勘弁して」って言いながら、速度を上げてどんどん進んでいきます。

まあ、道は一本なので行かせておいて、私はこのプチプチが何なのか、自転車の速度を落として、下を向きました。
すぐにわかりました。それは、小さなカエルでした。夕暮れ時、なぜか両脇の田んぼを行きかっていたのですね。そこに私たちが出くわした。私も「うおっと」となりましたが、あまりにも大量なので、よけ切れません。自転車の速度を上げると「プチプチプチプチっ」との音が早くなるだけ……。

女の子はあぜ道を抜けたところで止まって、タイヤを調べてながら「もう二度と通らん!」とわめいていました。
確かに、人がいないわけですね。地元の方はこの現象を知っていたのかもしれません。
参りましたね、タイヤから伝わる、あの感触は……。

私自身、この時以上のカエルの大量虐殺はしておりません。

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