ワクチン差別の話

 今年の夏のことです。
 会社に六十近いおばさんがいます。その他数名の社員と私。
 八月には私以外は皆ワクチンを2回打ち終えていました。皆さん職域で早かったのですが、私だけ出遅れたのですね。
 それは、職域申し込みの時に、私は一緒に申し込まなかったのですね。私の場合、持病を持ってまして、まずは担当してくれている先生に体の状況をワクチン接種可能か、というお話をしたかったのですね。その予約の一週間前に、ワクチン予約があって、私は出遅れた形となりました。
 その八月、皆さんが二回目のワクチンを終えた半ばのことでした。社内で納涼会とのことで、お昼を豪華弁当を取り皆で食べようという話になりました。まあ、うちの会社、時々あるのですが、良い事と思ってました。
 普段は、会議室が狭いので、各々の机でたべ、お話をするような形なのですが、その日は違いました。そのおばさんは弁当を持つと、会議室に向かいこう叫びました。
「このお弁当はワクチン終わった方へのご褒美なのよ。ワクチン2回終わった人! こちらで食べましょうよ!」
 そうです、私以外です。ただ、独り変わったおじさんがいて、その人は一人で食べてました。
 何でしょうね、私悪いことしたかな?
 食べ終わり、仕事が始まる前にそのおばさんが私に話しかけました。
「おいしかったですね、足りましたか?」
 私は、「ええ」としか答えられませんでした。
 本人は差別しているという認識はないのかもしれません。ただ、ワクチンが終わっておいしい弁当を用意されて浮かれてしまっただけかもしれません。

 でも、差別って、そんなもんですよね、きっと。

コメント