昔、独りぼっちで仕事をしていた話。

 もうずいぶん前の話です。私がまだ若い頃でしたから。

 会社に入って三年目の頃でした。私は20代後半で、生き生きしていたと思います。その時ある部署に居ました。本棟から離れていて、十分以上歩かないとつかない別棟でした。
 そこに私が配属された時にはほかに四人ほどいましたら、一年ほどたって、私一人になってしましました。ほかの方々は本棟に戻り、別の仕事をすることになりました。

 そこで、私一人。私の仕事はその別棟でしかできない仕事だったので、移りようがありません。 
 朝、カギを開けて、おはようございます、と独り言を言って、各部屋の電気をつけ、仕事の準備をします。PCはありましたが、それがメインではありませんでした。
 午前中の仕事を終え、自分で作ったお弁当を食べます。当時はお金がなかったので、自分で作ってました。独り暮らしでしたし。
 食べ終えて、午後の仕事です。私が手を止めると、とても静かだったのを覚えています。そして、夕方仕事を終え、電気を消して、鍵を閉め帰ります。

 こんな生活が一年ほど続いたのでしょうか?結局私も本棟に戻りました。私のしていた仕事は結局、止まってしました。私が止めたようなものなのですが。
 それは半年ぐらいたって、思うように進まなくなったことが原因でした。なんかうまくいかない。というか、体が動かないんですね。そしてやたらと眠たい。休憩時間はほとんど寝ていました。そして、覚えれないし、頭も働かない。そうなると成果なんて出ませんよね。でも、本棟とかで、会議とかする時には問題なく、いつもどおりでした。
 でも自分自身はっきりと分かったのは、心が閉じている、ということでした。
 正直、寂しかったしつまらなかったですね。

 個人で仕事されている方は、独りで仕事するのが当たり前な方もいて、
「お前は甘っちょろいやつだ」
 ということになるでしょう。
 私も当時はそう思って、ずっと頑張って仕事をしていました。
 何が違ったのでしょうね?
 個人で頑張れる人と、私のようにくじける人と。

 一つの大きな反省は、この時事実を受け入れて、よく考えればよかったな、と思います。
 今考えても、遅いような気がしますし、ほかの案件で上書きされてしまっているようで。
 それに、数十年たった今でも、なんとなく苦いのですね、この思い出は。

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