昔、二十年以上前の話になる。
ある程度昇進し、中間管理職の二つほど手前くらいなって、後輩も増えてきたころだった。
同僚に5歳下の女性がいた。これまた優秀な方で、出身大学も誰もが知っているところで、入社して一年くらいでそこの部署のチーフくらいになっていた女性だった。
私はその女性と居残ることが多く、そのたびに私たちは部下や後輩の悪口を言っていた。
「仕事が遅い」
「理論的ではない」
「くさい」
等あったが、彼女の愚痴や悪口が会話の中心で7割ほど占めていた。上司の悪口もあり、同僚の愚痴もありで、ハチャメチャに機関銃を打つ兵士の様だった。私はその女性の話を聞きつつ、私自身思ったことを言う感じであった。それはやはり悪口でもあり、愚痴でもあった。数は少ないが私も弾を打つ一人だったことは間違いなかった。
しかし、ある時、ふっと思った。愚痴や悪口をいつも通り繰り返した後の、一人の帰り道だった。
「疲れてんな、俺」って。
そして、
「ああ、時間の無駄だな」って。
もう何年もそう言った事を繰り返して、何の進歩の無い自分に嫌気がさしたんですよね。
そして、だんだんと、その女性から離れました。
そうすると、当然ですが、私の悪口を言い出し始めるようになり、結局上司にも言って、私は元居た所にはいられなくなって、だんだんと仕事もやりにくく……という感じになってしまいましたね。
その上司も、その女性に悪口言われてる人だったのですが、なぜか可愛がってましたね。
まあ、結局いろいろあって、その会社は辞めました。
ただ、あの時本当に気が付いて良かったな、と心の底から思ってます。
あのままだと、知らず知らずに腐って、精神の死を迎えていたかもしれません。
まだ、生きたいですからね。いろいろやりたいですし。
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